2022.03.18 / トライアスロン
バイクフィニッシュ後、トランジションに戻り最後のラン準備に取り掛かります。
佐渡トライアスロンはスイム・バイク・ランとすべて同じ場所なのでやっと帰ってきた感がすごくしました。
7時間ぶりに、、ほぼ仕事と同じ時間じゃんかと思いつつ、ランスタートです!
佐渡トライアスロンのランコースは片道約10.5km、往復21kmを2往復しての42kmです。
特に厳しい坂などは無く、比較的フラットなコース。
ですが暑さがパないです。
9月に入っていたとはいえまだまだ真夏の暑さ。 午後3時頃とまだまだ暑い時間です。
商店街っぽいところを走ってしばらくいくと、道の端で嘔吐している人も何人か見かけました。
ただでさえ練習不足なので水分・塩分の補給に気をつけながら進んでいきます。
しばらく走ると田園地帯が見えてきました。
なんか普段生活している大分県の田舎の方の景色に似てるな〜などと思いつつ、トライアスロンをしていなければ佐渡に来ることなんて一生無かっただろうなと思いながらも進んでいきます。
そもそも今回出場さえ一度諦めた。そして練習不足のなか、スイム・バイクと完走できて無事にこうやって佐渡の地を走れている。
それを考えると少し目頭が熱くなります。
まだ42kmの半分も走っていないのにまだ泣くのは早い!!と言い聞かせて進みますが、その時の景色は一生忘れません。
そんな感じで遅いながらも順調に進んでいまましたが、ちょうど半分の21kmを過ぎたあたりから急に身体が動かなくなりました。
身体に熱がこもってフラフラする。そして吐き気もする。
たぶん熱中症になりかけていたんだと思います。
それでも「ここまで来たら、死んでも完走したい!」 もう気力・気合です。
人間最後は気合だと。
そうはいいつつもここまでグロッキーな状態だと当然走れなく、歩いて進みます。
時間的には全部歩いたら間に合わない。
歩きながら少しでも回復を図り、途中から走らなければ。
そんな感じで21km〜30kmすぎまではほぼ歩いてしまいました。
30kmすぎの折返しを過ぎることにはもう辺りも暗くなってきました。
暑さが和らいで少し楽になるかなと思っていると、少し先の沿道にアカレンジャーみたいな戦隊コスプレをして、ひときわ必死に応援してくれる人がいました。
頑張れ!頑張れ!と文章では説明しにくいくらい必死に応援してくれる姿に、思わず笑ってしまいました。
そういえばランに入って初めて笑ったなと。
「ありがとうございます!」といってすれ違いざまにハイタッチをすると、急に身体に力が戻ってくるのを感じます。
いろんな状況が重なってたまたまだったのかもしれませんが、最大級の感謝をしつつ、ようやく走り出すことができました。
そこからは順調に走っていけます。
とは言っても1km7分台とかなので劇遅なのですが、それでも制限時間には間に合います。
一度諦めたけど、色々あって出場できて、そして今日だけでも色々あってようやくゴールが近づいてきた。
だれも興味がない、自分ひとりだけのドラマかもしれないけど、僕にとっては一生忘れることができない、とても濃厚なドラマです。
フィニッシュ会場近くの商店街まで戻ってくると、沿道の応援の人も増えてきます。
もう夜9時も近いしせっかくの日曜日なのに、みんな「おかえり〜、おつかれさま〜」と言って一生懸命応援してくれます。
その一人ひとりに「ありがとうございます!」と伝えつつ、泣きながら走ります。
そしていよいよラスト。 フィニッシュゲートまで数百メートル。
沿道の人にハイタッチしながら、この佐渡トライアスロンのラストを噛み締めながら進んでいきます。
長かった、諦めた、暑かった、走れなかった、孤独だった。
その全てはこの一瞬のために。
佐渡国際トライアスロン、通称アストロマン。
14時間54分08秒でFINISHです!!
FINISH後、フィニッシャーズタオルとメダルをもらいます。
約15時間もかかって、ぐだぐだになったレースでしたが喜びはひとしおです。
すぐに妻に電話しますが涙で声が出ません。
すると「どしたん?リタイアした!?」と。
馬鹿野郎完走したわ!と泣きながら伝えます。
どうやら練習不足だから完走できないと思っていたらしいです(笑
記念写真をスマホで撮ったりして、少し落ち着いたあと、トランジションにもどると少し会話を交わしたお隣さんも無事にFINISHしていました。
「きつかったですね〜」などと話しつつ、またいつかどこかのレースでお会いしましょう!とガッチリ握手をして別れます。
そして制限時間の21時30分。
ちょうどこの年で引退する歌手の安室奈美恵さんのfinallyが会場に流れ、同時に花火が打ち上がります。
色々あったけど、完走できた。
そもそもの目的、日本ロングトライアスロン四天王、全制覇という目標もこれで達成!!
そんなことを考え、花火を見ながらまた泣きました(笑
これで日本国内ロングトライアスロン完走記は一通りおしまいです。
なんどか書きましたが、未だにこんなキツいことをしてなにか意味があったのか?はよく分かりません。
ですがその全てが僕の人生の中でも特別に大切な宝物です。
つまり、
自分でも無理だと思うこと、諦めるようなことを努力で達成できたときの喜びは、人生において代えがたい宝物になる。
ということでしょうか。
これを書いているのは2022年3月。 この佐渡トライアスロンから3年半も経った後ですが、そのように思います。
コロナ禍でなかなか動きづらい世の中ですが、それでも人は生きていかなければいけません。
どうせ生きなければいけないんだったら、人生を楽しむ。
そして自分が生きた痕跡を、誰の中にも刻めなくても、自分の中には刻む。
これからもそんな思いを忘れずに生きていきたいと思います。
おしまい