2019.01.07 / デザイン
デザイナーになってから今年で約17年になります。
僕はもともと自分でもデザイナーとしての才能は無いなと思っていました。
もちろんセンスも。
駆け出しの頃はまわりの先輩方にも言われてましたし、実の母にも「お前がデザイナーになるとは思わなかった」と言われていました。
それもそのはず、僕は流行りものが好きなわけでも無く、オシャレにも興味が全く無い、学生時代に美術の時間は睡眠時間と決めてましたし、そもそもデザイナーになったのも母がしてたからなんとなく、、というデザイナーとしての才能やセンスを感じさせるものが全くありませんでした。
でもそんな僕が17年もこの仕事を続けていて、多少なりともデザインに評価をいただけるようになりました。
僕はこの仕事を始めてから1年半ほど経ったある日、突然デザイナーとしての感覚(間のとり方、色のセンス、適切な書体セレクト)が分かるようになりました。
前日まで全くダメで自分でも「なんてセンスの無いデザイン作るんだ俺は」といつも思っていたのが、次の日出社すると「なんかこのデザインをカッコよく成立させる方法が分かる気がする」と、本当に突然感覚的なものが理解できるようになりました。
(これは不思議な事でも何でも無く、俗に言う「1万時間の法則」だと思うのですが、これはまたいつか書きます。)
それまでずっと感じていた、頭の中のモヤモヤがクリアになり、最高に気持ちよかったのを覚えています。
その後はそれまでの自分が嘘のようにデザインが楽しくて仕方ない、もっともっと成長したくてたまらない、異常な成長欲求が支配しているような感覚でした。
当時の上司と担当クライアントの割り振りについて大声で喧嘩して「成長したいんですっ!!」と社内で泣き叫んだことは今思い出しても恥ずかしいです(汗)
Fさんその節はすみませんでした。。。
話を戻してなんで突然デザイナーとしての感覚に目覚めたのか。
ずっと考えつつも答えも出ないまま、なんとなく仕事していました。
その後、同僚だったり外部のデザイナーさんだったりと色々なデザイナーと触れ合って、ふとあまり腕が良くないデザイナーの共通点に気が付きました。(棘のある言い方ですいません。。)
「自分が作ったデザインをダサいと思っていない。」
ということです。
振り返ると僕はいつも「自分のデザインはなんてダサいんだ。」と思っていました。
それは出来るようになってからも少し形を変えて残っています。
少し恥ずかしいですが、僕は自分の作ったデザインが可愛くて仕方ないです。
出来て3日間はプリントアウトしたり、今だとスマホに画像送って暇さえあれば見てニヤニヤしています。
それこそ穴が空くほど。
でも、、、4日目くらいから、段々と見飽きてきます。
そりゃそうですよね、そんなに見てたらどんなデザインだって飽きますよね。
それと同時に粗が見えてきます。
ここはあと0.1mm左だったとか、色はマゼンタ数%下げておけばよかったとか、細かい部分が大半ですが、いろんなことが気になりだし、最後には恥ずかしくてあまり、見たくなくなります。
でもこの「飽きて粗が見える」ことがとても大切なことなんだろうなと思っています。
飽きると「今度は別の方向から攻めてみよう」と思い、粗が見えると「次はもっと精度を上げて作ろう」と思います。
それがセンスや技術の向上に繋がり、自分自身を成長させていくのだと気が付きました。
少し脱線しましたが、僕が思うデザイナーに必要な才能は「自分のデザインがダサいと気がつくことが出来る才能」です。
それに気がつくことが出来る人は、良いデザインを見た時に「このデザインの何が良いデザインたらしめているか。」が段々と分かるようになってきます。
審美眼が磨かれるとでも言うのでしょうか。
だから今からデザイナーになろうとしている学生さんや、駆け出しの新人デザイナーさんで「あの人と違って僕は私はなんでダサいデザインしか作れないんだ」と思っている人も安心してください。
ダサいと気がつけているだけで大丈夫です。今はセンス無くても大丈夫です。
いつかきっと分かるようになります。
そしたら僕と友だちになってください。
刺激を与え合えるデザイナー仲間は貴重なんです。